強大な宿敵を打破するには世界レベルの超高速クロスしかない。この日、ソウル郊外の坡州国立フットボールセンターで行われた練習後、長友は同じイタリアでプレーするFW森本をパートナーに指名。左サイドからクロス練習を連発した。利き足ではない左足でピンポイントの精度を見せていたが、ザッケローニ監督とピッチ上で会談していた腹心のグイードGKコーチがその様子を見て歩み寄った。
「インステップキックでもっとボールを強くインパクトしてほしい。速いクロスだ」。身ぶりを交えながら、イタリア語で直接要求。ザックの“密命”を受けた長友は左足を思い切りボールに叩き付け、クロスのスピードを一気に上げた。
「DFとGKの間を狙った。触ってコースが変われば、それだけでゴールになると思う」とザック流クロスに手応えを感じた様子。今夏イタリアに移籍し、ACミランなど世界屈指の強豪相手に互角以上の戦いを演じた長友は世界仕様のクロスの重要性に気付いた。
「セリエAのDFのレベルは高い。守備範囲も広いし、足も伸びる」フリーの味方を確認後、丁寧にクロスを上げても簡単に阻まれた。高速クロスは今年2連敗した韓国へのリベンジにも有効策となる。「運ではなく、実力と個の力で負けたけど、僕はW杯とイタリアで経験を積んで伸びた。個の力で韓国に勝てなければ世界に通用しない」とアジアの虎に牙をむいた。
「歴史的にも重要な試合。選手が、私がこれまでお願いしたことをどれだけできるか見てみたい」と語るザック監督に、要求通りの高速クロスで長友がゴールと敵地初白星をもたらす。
◆今年の韓国戦
▽東アジア選手権(2月14日、国立)●1―3 前半23分にMF遠藤のPKで先制。だが、DF内田が与えたPKなどで前半のうちに2失点し、逆転された。後半25分にも加点され、惨敗。DF闘莉王が前半41分に退場処分を受けたのが響いた。
▽親善試合(5月24日、埼玉)●0―2 南アW杯の壮行試合で激突。前半早々の6分にクリアミスを拾われ、MF朴智星のミドルシュートで失点。後半終了間際にはGK楢崎がPKを献上し、0―2の敗戦。闘莉王、内田、稲本、松井、玉田が負傷で欠場していた。試合後に岡田武史監督が「進退伺」を出す事態に発展した。

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